ふくしおおさか2021年夏号
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大阪福祉人材支援センターではよる「児童福祉施設で生活する子どもたちを理解する講座」(以下、講座)を実施しています。主な対象者は、児童福祉施設での就労を希望する学生。講座をスタートして5年、65今年4月、児童養護施設した辻本夏な菜なさんと田中茉ま佑ゆさん、施設長の小川健二郎さんに話を聞きました。辻本さんは、もともと教員をめざしていましたが、教育実習で「子どもの生活に直接関わる仕事に就きたい」と感じ、インターネットで“子ども”をキーワードに検索。児童養護施設にたどり着きました。田中さんは、保育園の先生をめざしていましたが、児童養護施設での実習をきっかけに、子どもの日常に関わることにやりがいを感じ、心が動きました。コロナ禍で、のきなみ中止になる就職フェアと施設見学。施設の雰囲気、職員や子どものようすを知りたかったふたりに共通していた情報集めの手段は、インターネットでした。田中さんは、常照園のオンラインによる施設説明会に参加。辻本さんは、職員人が就職しました。大阪西本願寺常照園(以下、常照園)に就職     、7日間の講義と、2日間の現場体験にが楽しそうに働いているようすを発信していた常照園のホームページに目がとまり、連絡したのがきっかけでした。就職につながったポイントは何だったのでしょうか。現場体験からふたりが感じとったことは、①施設の明るい雰囲気②子どもと職員が一緒に楽しむことの大切さ。そして、その“楽しさ”を体感することができたこと③「今日の対応よかったよ」「困っていることない?」と職員がサポートしてくれたことによる安心感でした。辻本さんは、子どもとの関わりに迷いを感じ、職員に相談。「自分の思いを素直に伝えたらいい」とアドバイスをもらったことで、「客観的な目線をもちつつも、自分の感性も大事にしていいんだと感じた」と話します。また、「外出等の制限があるコロナ禍でも、職員が工夫しながら、行事を企画し、全力で楽しんでいる姿を見て、その輪の中に入り、一緒に働きたいと思った」とも。田中さんは、「施設で働くイメージがつかめた。就職前に体験できたことは、自分の中でとても大きかった」と振り返ります。る。その中で、これがしたい、こんな遊びがしたいという子どもの思いに寄り添える職員でありたい」と田中さん。学校では一生懸命頑張っている。子ど「子どもは、いろんな感情を抱えてい「施設でトラブルを起こす子どもも、もにとって安心できる場(施設)だからこそだせる、不安やしんどさをくみ取り、子どもの気もい」と辻本さん。や、オンラインでの施設説明会に早くから取り組み、間口を広げている常照園。「現場体験をてもらい、広報だけでは伝えられない日常の雰囲気を体感し、施設で働く魅力を感じてほしい」と小川施設長。研修や会議のあり方を工夫し、職員の育成に力を入れている常照園は、実習生やボランティアの方にもていねいに関わっています。小川施設長は、「忙しい中でも、振り返りの時間を確保し、コミュニケーションをとり、本人のモチベーションをあげることを心がけている。人材育成の観点からも大切なことであり、これらを現場職員は理解してくれている。また、施設の魅力ややりがいを会話の中で伝えちに共感できる職員でありたホームページの魅せ方の工夫通して、施設のことを広く知ったどり着いたのが児童養護施設情報集めはインターネット明るさと楽しさの共有      そして安心感子どもの思いに寄り添う不安やしんどさをくみ取るていねいな関わりが      人材育成に施設の日常を体感職員の得意なことを生かせるのが常照園職員の得意なことを生かせるのが常照園「音楽を通して子どもと楽しみたい」と話すのはサックスが「音楽を通して子どもと楽しみたい」と話すのはサックスが得意な辻本さん(左)得意な辻本さん(左)「夏に子どもと一緒に釣りに行きたい」と微笑むのは釣りが「夏に子どもと一緒に釣りに行きたい」と微笑むのは釣りが趣味の田中さん(右)趣味の田中さん(右)10コロナ禍での現場体験から何を学ぶコロナ禍での現場体験から何を学ぶ~人材確保と人材育成の視点~

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